全長1.78メートルの世界

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 確かそれは、夜の寝物語だったと思う。

「グリーン・フラッシュって知ってっか?」

 微睡みを誘う温もりの中、サンジがゆるゆると口を開いた。
 太陽が完全に沈む直前、または昇った直後に、一瞬緑色の光が輝くことがある。
 それがグリーン・フラッシュ。

「一生に一度見られれば良い、っていわれるくらいすごい珍しい現象らしいんだけど、見てぇんだよなぁ」

 サンジが自分の望みを口にすることは滅多にない。
 その光とどっちが珍しいかと思いながら、ゾロは酒を煽った。
 朝、陽が上るとき。夕方、太陽が沈む頃。サンジがよく水平線を眺めているのはその現象のせいなのだろう。
「ナミに聞きゃ、見れんじゃねえのか」
 いくら取られるかは知らねぇけどよ、と付け加えると、強かに脛を蹴られた。
「麗しのナミさんの知識を分けて頂くんだ。それをタダで済まそうなんて、天が許してもこの俺が許さねぇ」
「天の前にナミが許さねぇだろうしな」
 再び繰り出された蹴りを受け止めて引っ張る。引き寄せられた細い身体をそのまま組み敷いた。
「元気じゃねぇか。もう1回付き合えよ」
「ざけんな、絶倫魔獣! 穀潰しのてめぇと違って天才コック様は明日も忙し−−」
 うるさく喚くのを口付けで遮る。舌を絡めて表面を撫でると、簡単にさっきまでの熱を取り戻した様だった。
 ゆっくりと、だが確実に熱を煽りながら、ゾロはサンジの願いを記憶に刻み付けた。





 悪い時には悪いことが重なるものだ。
 前の島は火山島で、しかも断続的に噴火を繰り返していたからログを溜めるのが精一杯だった。その前の島は非常に物価が高く、必要最低限の補給しか行わなかった。
 それなのに、5日で着く筈の次の島は、1週間たってもまだ島影も見えない。
 豪雨を伴う嵐と晴天の凪が数時間ごとにおこるので釣りをしても成果はないに等しいし、十分に睡眠が取れないからせめて食事だけでも…と回数は多くなる。
 結構深刻な食糧不足の最中、サンジの誕生日はやってきた。

「まだ見えないわね…」
 釣り糸を垂れながら、ロビンは水平線を見やった。
 普段の釣りは男の仕事だが、この非常時にそんな呑気なことは言っていられない。嵐が治まると揃って釣り糸を垂らすのがここ最近の日課だった。
「もう着いても良いのになー」
 ウソップは水平線に目を凝らした。
 凪と嵐を繰り返すため、船足は遅々として進まない。それでもいい加減そろそろ島影が見えても良い頃なのに。
「折角、サンジの誕生日なのにな…」
 チョッパーがくすんと鼻を鳴らす。
 本当なら、食材には困らない陸の上で盛大に騒ぐつもりだったのに。
「流石にここまでのパターンは予想してなかったな…」
 生け簀はとうに空だ。コーラも緊急バースト用の3樽を残して飲み尽くした。
 唸るフランキーも、暫くコーラを補給していないからか、前髪がへなりと萎れている。
「やっぱ、少し漕ぐか!」
「だめよ!」
 ぴょんと船縁から離れたルフィをナミが叱りつけた。
「釣りは体力温存も兼ねてるって何度言えば分かるのよ! すぐにまた荒れて走り回ることになるんだから、少しは休んでおきなさい。誰か一人欠けても大変なんだから」
 黙って海面を見ていたゾロが、ちらりとキッチンに視線を投げる。
 ドアは閉まっているが、中では唯一釣りを免除されたコックが何かしら動き回っているだろう。
「大丈夫ですかね、サンジさん…」
 ブルックの言葉に、全員がキッチンを見上げた。
 食わせたがりで他人の幸せに喜びを感じるコックは、食料が心もとなくなると真っ先に自分の分を減らす。下手をすると全く食べなくなってしまうが、それがサンジの職業意識だと知っているから、誰も何も言えないのだ。
「ナミ」
 一人水平線を眺めていたゾロが、ふいに航海士を呼んだ。
「グリーンフラッシュとかいうやつ、今日は見れないか?」
「グリーン・フラッシュ〜? あんたよくそんな言葉知ってたわね」
 感心したような声をあげたナミだったが、真面目に考える気はまるでない。
「無理よ。またすぐに嵐が始まるし、治まるのは日が暮れた後だもの」
「なんとかなんねぇか」
 食い下がるゾロに、ナミの返事は冷たい。
「嫌よ。疲れるし、1ベリーの得にもならないし」
「おい、ロロノア。そりゃあ今日じゃなきゃダメなのか?」
 フランキーに言われて、ゾロは躊躇った。
 何のプレゼントも用意出来てないこの状況だから、せめて願いくらいは叶えてやりたい。
 だが、ナミやロビン、ウソップの疲労はピークだ。他のクルーも心底疲れきっている。これ以上の無理を強いるのも気がひけた。
「バっカだなぁ、ゾロ。そーゆうのは最初に理由を言わねえと」
 全てを知っているかの様な船長の言葉に、ゾロは迷いながらも口を開いた。

「−−コックが見てぇって言ってた。だから、見せてえ」

 全員がはっと顔を上げた。同時に、らしくなくゾロが口ごもっていた理由も分かった。
 これを聞いてしまったら、イヤとは言えない。
「本日の主役のためなら仕方ないよな。頑張ろうぜ!」
「ちょっと待って!」
 盛り上げるウソップを押し退けてナミが割って入った。
「これだけは知っておいてほしいの。いい? グリーン・フラッシュっていうのは、ほんっと〜〜に稀れな現象でね、日没に間に合っても見れない確率の方が高いのよ」
「今日なら見れるだろ」
 何の根拠もないだろうにゾロが断言する。
「……『フラッシュ』っていう通り光るのは一瞬だから、肉眼じゃ確認出来ないことが多いし−−」
「大丈夫だ! 問題ねぇ!」
 自信満々にルフィが胸を張る。
 起こらなかった時のため、起こっても見逃した時のためが、約2名のせいですっかり『有り得ない仮定の話』にされてしまっている。
 ナミは込み上げてくる怒りを押し殺して、にっこりと笑った。
「じゃあ、起こらなかったらゾロのせい、誰かが見逃したらルフィのせい、ね」
「おう」
「ん。良いぞ」
「言ったわね! あんたたちの取り得なんか運くらいなんだから、せいぜい頑張って祈りなさいよ! ダメだったら借金100倍に増やしてやるんだから!」
 言質を取ったナミはすっくと立ち上がった。
「ちょっと調べてくるわ。ロビン、私の分の釣竿お願いね。あんたたち、気合入れて休んでおきなさいよ! 次に海が荒れても、帆は下ろさないで突っ切るわよ!」
 そう言いおいて颯爽と女部屋に向かうナミは、ゾロが秘かにサンジの不在を喜んでしまうくらいに格好良かった。



 太陽が真上を過ぎる頃、雲が現れ風が強くなった。
 宣言通りに帆は畳まず、パドルも使って荒れ狂う海を疾走する。
 ナミの指示に従って駈けずり回ること数時間、サウザンド・サニー号は漸く嵐を抜けた。

「間に合った…」
 半分以上沈みかけた太陽を見ながら、ナミが安堵のため息をつく。
 雨で大気が洗われたせいで、空が金色に輝いている。素晴らしく奇麗な夕焼けだった。
 見ているだけで疲労も抜け落ちて行く様で、思い思いに芝生に座って暮れゆく風景を眺める。
 太陽が小さくなるにつれて、静かに空気が張り詰めていった。
 あのナミが念を押すくらい滅多に起きないな現象だ。ルフィとゾロの圧倒的な幸運を信じているが、やっぱり不安は付き纏う。

 だから、どうか。
 素直じゃないだけで本当は優しいコックの願いが叶いますように。

 サンジには決して気が付かれない様にこっそりと、だが真剣に祈った。

  グウゥゥゥ…

 波の音もなく静まり返る中、大きな腹の音が響く。
 コックの職業意識をこれ以上ないくらいに刺激する音に、サンジ以外の全員が顔色を変えた。
 もう直きに、太陽が沈みきるというのに。
「さて、夕飯の支度でもするか」
 案の定、気だるそうに立ち上がったサンジの腕を、咄嗟にゾロが掴んで引き止める。
「まだ大丈夫だろ」
「あ?」
 サンジはガラ悪くゾロを見下ろした。
「いつもならとっくに支度始めてる時間なんだよ。邪魔すんな」
 睨むだけで足も出ないし腕も振り払わない。今のサンジにはそんな元気もないらしい。
 ゾロは奥歯を噛み締めながら、唸る様に口を開いた。
「あと少しだけで良い。ここにいろ」
「自分が光合成で回復出来るからって勝手なこと言ってんじゃねーよ。さっさと飯食ってさっさと寝ないと、疲れが取れないだろ。まだこの妙な海域は抜けてないんだし」
 確かに、海は静まり返ったままで、風もない。きっと数時間後には、また嵐がくる。
 だが、一番体力のないナミよりも消耗している今のサンジに言われても、説得力はない。
 ゾロは掴んでいたサンジの腕を引っ張た。簡単に崩れ落ちた身体を、腕の中に抱え込む。
「良いからもう少し休め! じゃなかったら、もっと俺達を頼れ! 1人で抱え込むな!」
 サンジが腕の中で身じろいだ。本人としては暴れているつもりなのかもしれないが、そんな威力はまるでない。
「剣士がコックの領分に口出しすんな!」
「俺に言っても何も解決しねぇと思ってんだろうが−−」
 薄くなった肩を掴んで、強い瞳のキツい視線を真っ向から受け止める。

「奇跡の1つや2つ、俺が−−俺たちがいつでも起こしてやるから!」

 その瞬間、辺りが茜から緑に色を変えた。
 残り僅かな太陽が、鮮やかな緑色に輝いている。
「何だ、これ−−」
 ウソップが震える声で呟く。
「これも、グリーン・フラッシュっていうのかしら?」
「原理は同じだと思うわ。だいぶ規模が大きいけど」
 首を傾げるロビンも、顎に手をあてて考えるナミも、冷静に見えてもその手は小さく震えている。
「すっげぇ…」
 サンジは震える足で立ち上がった。
 空も海も、見たことのない様な澄んだ森の色をしている。
 サニー号も仲間たちも、一様に同じ色を纏っていた。
「ゾロ…!」
 感極まったサンジが、半泣きでゾロを振り返る。
 ここ暫く見られなかった穏やかな表情に、ゾロは声をたてて笑った。

 長いようで短いような奇跡の時間。
 太陽が沈みきると同時に、辺りは薄闇漂ういつもの景色に戻った。

「どうだ? ちゃんと起こったろうが」
「全員見れたしな」
 勝ち誇る様に胸をはったルフィから、風が帽子を落とした。
「うわっ」
 追いかけようとした足元が揺れてバランスを崩すのを、ゾロが支える。帽子はサンジが捕まえてくれた。
「おいおい、しっかりしろよ、ルフィ」
「へへ、悪ぃ」
 にっかりと笑って帽子をかぶり直したルフィが、ん? と首を傾げた。
「風があるな」
「波もあるぞ。船が揺れてる」
「これって−−」
「海域を抜けたわね! 船が進むわよ!」
「あーっ! あれ、あの光! もしかして、街があるんじゃねーか!?」
「うん、土の匂いがするよ!」
「海軍の船は見当たらないわね」
「うおっ! 引いた! 魚が釣れるぞ!」
「うーん、入れ食いですねぇ」
 次々にあがる声に、サンジは煙草を咥えて俯いた。
「すっげぇ威力だな、キセキって」
「そりゃあな」
 ゾロは目を細めて、多分泣いているだろうサンジの髪をかき混ぜた。

「てめぇの誕生日なんだから、これくらい当然だろ」


 

◇ 千腐連様コメント ◇

フカ:はーいはーいはーい
玉:お、どうしたどうした
フカ:私、子供のころ一度だけ、見た事ある。
玉:おおおおおおお
きぬ:うっそまっじ?
フカ:こんなすごいのじゃ無かったけど。
玉:まじで!?
きぬ:へええええええええええええ
フカ:夕焼け、綺麗だなーって思って見てたらさ、一瞬、雲がね、青緑色に染まったんだよ
玉:おおおおおお
フカ:あの頃ってさ、お線香の青雲ってCMあったじゃん
玉:あったね
玉:つか今でもあるんじゃ・・・
きぬ:いまもあるよ(笑
フカ:あーのひとーが見たというーしーあわせーの青いくもー♪
フカ:あれだっ!!って。
玉:うたいはじめたよ、このひと・・・
きぬ:うたったよ、このひと…
玉:うたっちゃったよ・・・
きぬ:コメントでうたってるよ…
フカ:だって、あ、これ!って思ったんだもん♪
きぬ:それも青雲のうたを…
玉:青雲の(笑)
きぬ:うたっちゃったよ…
フカ:もん♪もん♪
きぬ:めげてねぇよ…このひと…(笑
玉:はーいはーいはーい
きぬ:はい、たまさん
フカ:はい、たまなでしこくん
きぬ:しこくん(笑
玉:あのね、私はね、
玉:このグリーンフラッシュって言うのどんなんだろう♪っておもって、
玉:見たいなーっておもって、
フカ:まぁ♪
玉:画像検索したら
フカ:うん
きぬ:おお
玉:・・・・・・・・・・・・・・・・・・バイブレーターがいっぱい
きぬ:ぶーっ!!!!(爆笑
フカ:なんでだよっっ!
玉:や、まじでまじで
きぬ:なんでグリーンなんだろう
フカ:え、ふつーにいっぱい画像で出るじゃん。
フカ:どこにバイブがあるのよ、、、

(さすがにここにURLは張れないのでYahooで画像検索してみてください)

玉:アダルトフィルタはOFFってね
フカ:ぶわっっ
きぬ:うわああああああ!
きぬ:サンジに使ってくれええええ!!
フカ:フラッシュコックって、、、またなんかもうもう
フカ:名前からして、ゾロサン向けというかなんというか
玉:どうよ
きぬ:フラッシュでグリーンでコックかい
玉:初心者向きだそうよ
きぬ:ゾロサン的にめでてぇな
フカ:うむ。
きぬ:サンジ、うぶだからちょうどいいわね<初心者向き
フカ:ゾロのより細くて小さそうだしね
きぬ:み、見たくねぇ
フカ:ちょ、ちょ、ちょ、ちょっとまって!
きぬ:え?
玉:なにをちょっとまつのよ
きぬ:ちょっと松
フカ:ねぇ、私達、
フカ:麦藁の仲間達みんなが
フカ:サンジのお誕生日のために、必死になって嵐を乗り越えて
フカ:素敵な風景に間に合った、奇跡のお話について語っていたはずよ?
フカ:、、、なんでアナルバイブ、、、
きぬ:しょうがないんだよ…ふかひろこくん
きぬ:なぜならわたしら、ちふりんず
玉:だから、ゾロが
玉:もしかしたら
きぬ:もしかすんな!
玉:見れないかもしれないからその時のフォローに、
きぬ:なんか嫌な予感するから!!
きぬ:言うな!!!
きぬ:黙ってろ!!!!
玉:「みれなかったけど、グリーンフラッシュはほら、ここに」って
きぬ:フカさん、たまを押さえて!
玉:腹巻から
きぬ:この馬鹿ーっ!!
フカ:うぎゃっ、間に合わなかった!
玉:ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
フカ:こいつー
玉:ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
きぬ:グリーンフラッシュ、その口にねじ込んでやれ
玉:ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
フカ:下品だわ、、、
玉:下品だね
玉:誰のせいだろう・・・
きぬ:おまえのせいだろうが!
フカ:玉に決まってるだろ!



そんな裏があるとは知りませんでした…。
文章の検索はこれでもか! という位しましたが、画像検索はしなかったなぁ。
素敵なコメント&素晴らしい知識をありがとうございました!
 

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